血管病変が原因で起こる脳神経系の障害を総称して脳血管障害(脳卒中)と呼びます。
脳の血管が詰まったり(梗塞)、血管が破れたり(出血)して、突然、手足がしびれたり動かなくなったり、言葉が話せなくなったり、あるいは意識がなくなったりする病気です。
脳血管障害(脳卒中)は虚血性脳血管障害(脳卒中)と出血性脳血管障害(脳卒中)に大きく分けられます。
虚血性脳血管障害(脳卒中)とは血栓や動脈硬化などにより血管が詰まり、その先の脳細胞に十分な栄養が届かなくなり細胞が死んだり、機能しなくなることです。脳梗塞、一過性脳虚血発作があります。
出血性脳血管障害(脳卒中)は高血圧などにより血管が破れることで、脳出血(脳いっ血)、くも膜下出血などがあります。
脳血管障害(脳卒中)は日本人の死亡原因の第3位で、年間13万人くらいの方が脳血管障害(脳卒中)で亡くなっています。患者数は147万人で、死亡原因トップのがん患者127万人より多い事がわかります。
死亡率は以前に比べ下がってきていますが、高齢者の寝たきりの原因の第一位に挙げられます。
性は女性の2倍近く脳血管障害(脳卒中)を起こしやすく、クモ膜下出血は女性に多くみられます。
また、日本人は欧米人より2〜3倍脳血管障害(脳卒中)の発症率が高いといわれています。
脳梗塞
脳血管障害(脳卒中)での死亡の60%以上を占めています。その原因から大きく3つに分けられます。
・アテローム血栓性梗塞
脳内の太い血管(主幹動脈)や頚動脈の動脈硬化が進行し,血管内に血栓ができて詰まることにより起こります。
手足がしびれる、手足の力が入らない、ろれつが回りにくいなどの症状のほか、軽い意識障害や思った通りの言葉が出ない、視界の一部が欠けているといった脳の広い範囲の障害を思わす症状がみられることがあります。
・ラクナ梗塞
脳の細い血管が詰まって起こります。足の麻痺やしびれ、言語障害などの症状が単一で起こる場合が多いようです。原因としては高血圧が最も重要で、そのほか糖尿病もあげられます。
・脳塞栓症
脳以外の場所(主に心臓)でできた血栓が流れてきて脳の血管をふさぐことにより起きます。手足の麻痺やしびれ、言語障害や意識障害などの症状が突発的に起こります。
一過性脳虚血発作
脳の血管が詰まるタイプのうち、24時間以内に回復するものを指します。何らかの原因で再び血液が流れると症状もなくなリますが、脳梗塞の前触れ発作ともいわれていますので注意が必要です。
脳出血
脳の中の細い血管が破れて出血し、その部分の脳組織を直接破壊するため、頭痛やめまい、半身マヒ、意識障害などが起こります。高血圧や、年をとって脳の血管が弱くなることが主な原因です。脳血管障害(脳卒中)死亡の約25%が脳出血です。
くも膜下出血
脳をおおっている3層の膜(内側から、軟膜、くも膜、硬膜)のうち、くも膜と軟膜のあいだにある動脈瘤が破れ、膜と膜の間にあふれた血液が脳全体を圧迫するものです。突然激しい頭痛、嘔吐、けいれんなどが起こり、意識がなくなり急死することもあります。手足の運動麻痺はおこりません。脳血管障害(脳卒中)死亡の10%強を占めます。
年齢や性別、遺伝なども原因となりますが、高血圧、糖尿病などの疾病、生活習慣なども脳血管障害(脳卒中)の危険因子をとなります。
高血圧は高血圧性脳出血だけではなく脳梗塞の原因になります。
糖尿病・高脂血症は、動脈硬化を促進し脳梗塞の要因となります。
肥満は直接的な原因ではありませんが高血圧や高脂血症を引き起こし、間接的な原因となります。
大量の飲酒やタバコ、ストレスも脳血管障害(脳卒中)の危険因子となります。
脳梗塞あるいは脳出血によって完全に障害されてしまった脳細胞は、どんな薬によってもあるいはどんな手術によっても、元通りに回復させることはできません。
脳血管障害(脳卒中)の予防には
・危険因子を発見する(定期診断など)
・危険因子を減らす・治療する(生活習慣の見直し、原因となる疾病の治療)
・早期に受診する(もし脳血管障害(脳卒中)を疑わせる症状が出たら、軽くても一時的なものでも、急いで専門医に診てもらう)が重要です。 |